燕岳・大天井岳・槍ヶ岳 1人テン泊-2泊3日-本編③
翌朝。常念岳の左から朝日が昇る。今日もいい1日になりそうな予感~
ベンチレーターから好きな時に槍を眺めることができたこの特等席もさみしいけれど、
そろそろお別れです。
本当に静かな場所で風もあまりなく快適に過ごせました。
おっといけない!
昨日お借りしてたヘッドライトを7時に小屋前で返すことになってたんだ。
急いでテントを片付け、ザックに荷物を詰め込みました。
トイレにも行きたいしちょっと中途半端な状態で小屋前に行くとすでにAさんいらっしゃった。
「なんかすごくあせってたねぇ」
ハっ!バタバタしてテント撤収してるのを見られていたとは。お見苦しいところを見られてしまいました。
お2人は7時半くらいに上高地へ向けて下りていきました。「あとでおっかけま~す」
荷物もまとめて小屋へ向かって歩き出すもトウヤクリンドウがたくさん咲いていたので
ザックを背負ったまんま地面にへばりついて写真を撮っていると小屋にさえ近づかない。。
槍ヶ岳山荘前に到着すると昨日もほぼ前後して一緒だったYさんとTさんとバッタリ。
お2人は槍平を経由して新穂高温泉へ下りるとのこと。
ここでいろいろ立ち話。
白馬でケーキ屋さんをしているYさん。冬はテレマークスキーもするんだそうで、
今度は冬にぜひ白馬で滑りましょうね!と連絡先を交換しました。
どうやら白馬でけっこう有名なケーキ屋さんみたいです。
冬が楽しみです♪
お2人は次の週にも山に登っていたそうで、本当にパワフル。
ご家族かと思いきやお2人とも白馬に住んでいる登山仲間なんですって。
Tさんはうちの両親と同じくらいのお年でした。
名残惜しいですが槍を後にして、ズンズンと高度を下げていきます。
槍を背に向けているけど何度も何度も振り返っては眺めてしまうんですね~。
すると1人のおじさんとすれ違いざまに、「山頂まではまだまだですか?」と聞かれる。
そしてそこからおじさんのお話がしばらく続くのでした。
「わたし、ワケがあって槍ヶ岳に登ってるんですわ」
山登りなんてしたことなかったそうなんですが、奥様が急に亡くなられて、
あとから大学ノートに書かれたお手紙(=遺書?)が 見つかったらしく、
そこには行きたかった憧れの槍ヶ岳に散骨してほしい」と。奥様は登山が趣味だったそうだ。
散骨ってどこでもできるのかな?よくわからないけど・・・
そこから近所の低山でトレーニングを積みやっと今日来ることができたのだと・・・
「でもな、なんて書いてあったと思う?『あなたに槍ヶ岳はムリです。なのでヘリコプターを雇ってください』って書いてあってん!」
なんだか笑っていいのかいけないのか・・・さすが京都のおじさん。オチがあるわけです。
そんなこんなで10分近くおじさんの話に耳を傾けたのでありました。
がんばれおじさん。
天狗原分岐近くにいたおさるさん。
箕面の凶暴さるに比べて柔和なお顔をしているような気がします。
スタスタと下りていくと大曲の手前あたりでお2人に追いついた!
さっきのおじさんの話をすると「あー俺たちにもワケがあって登ってるっていってたなぁ」と。
理由は話さなかったそうです。きっと誰かに聞いて欲しかったんでしょうね。
ここからは3人で楽しく下って行きます。
槍沢ロッヂ。
横尾山荘前。
まだ手持ちの食料が残っていましたが久しぶりにちゃんとしたご飯がたべたーいと思い、
徳沢でカレーを食べました。ウマかった。カレーの濃い味が体にしみます。
上高地まではほぼ平坦な道。でも長すぎて半ばムキになって歩いてました。
進むに連れてだんだん観光客も増えてきた。
数日間山にいるとみんな山の格好だったのでこのあたりでの観光客の普段着がなんだか
新鮮に見えてきました。
進めば進むほどギャルやヤンキー?も出現。
「どのあたりから挨拶するのやめたほうがいいのかわからないよなぁ。
こんなとこにもヤンキーってくるんだなー、でもちゃんと『っちわー!』って言ってたぞ!」とSさんが笑いながら言う。
きっとこちらがおかしな格好して歩いていると思われてるだろうけど・・・^^;
河童橋に近づくとやっと下界に戻ってきたんだな、と実感がわきました。
観光客の方に「へんなこと聞いてもいいですか?槍ヶ岳までってどうやって、どれくらいでいけるんですか?」と質問されたり。
数年前の自分ならきっと同じようにフシギがっていただろうなーと思います。
え?テントかついで山に何日もかけて登るの??って。
お2人は温泉に入ってから上高地を出る予定でしたので風呂前に申し訳ないなーと思いながらも祝杯を。
(Sさんは飲めないのでソフトクリーム)
セルフ撮り。最後までいろんな方と楽しく過ごすことができました。
山に来ると当たり前だけど山が好きな人ばかりなので山の話題でもちきりになるのが
とっても楽しい!
だって下界で山の話なんかできる人周りにいませんもの。。
お2人は高校時代の友だち同士。お2人とも仕事が忙しくって土日でさえなかなか休みもとれないそうなんですが、
1年に1回だけこうして2人で登山することに決めているんだそうです。メモ帳の前のページは去年の山行記録でストップしたまま(笑)
でもいいなぁ~。流れることなくちゃんと毎年約束を実行してるって!
結局、おふたりは日帰り温泉に向かっていったものの、「あーさっぱりしたー、ってか閉まってた!!」と
残念そうに戻ってきました。この状態で夜の山手線に乗るのは勇気がいる、と言ってましたが
バスターミナル前にシャワー室があったようです。良かったですね。
3人で同じバスに乗り、新島々まで行き、また電車に乗り換え松本までご一緒しました。
お2人は特急で東京まで戻るとのこと。
わたしは車を取りに、大糸線で柏矢町(はくやちょう)まで戻ります。
ちょうど隣のホームだったのでわたしが出発して見えなくなるまで手をふってくれてました!
こんな格好してるのわたしだけ・・・ちょっと恥ずかしいので席があいてもはじっこで小さくなって立ってました。
帰宅途中の高校生とかばっかり。
18時40分頃柏矢町駅に着き、そこからは15~20分の歩きです。
もうあたりは真っ暗。車通りはまあまあ多いしお店も多少はあります。
でも歩いてる人はいませんでした。家で地図で駐車場を確認したら駅からとにかく一直線だったので地図も印刷せずでしたが、
もうそろそろじゃない?と思ってもなかなか着かないのでちょっと不安になりましたが無事田淵行男記念館に到着~!
その後は穂高温泉郷にある、「温泉健康館穂高ヘルスハウス」に400円で入りスッキリして豊科から高速に乗りました。
平日の夜はほんとに車が少なくてスイッスイ~
特に最近1000円渋滞ばかりに遭遇してたからなおさらそう感じました。
この3日間、あっという間に過ぎ、とっても中身のあるソロデビューとなり非常に満足
帰りの大阪までの道中、3日間を振り返り余韻に浸っていたのであります。
1人でやろうと思えばできるんだな~と自信がわいた登山となりました。
おしまい
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コメント
前に寝転んで動かない人がいたなー 何をしてるのかとのぞいたら・・・小さいお花を撮っていました ^^)
eriさんみたいな人が多いんだなーって・・・ ^^)
そうでもしなくては いいアングルでとれないんでしょうね~ ^^)
亡くなった奥さんの話は じーんってしてしまいました・・・ 旦那さまも頑張りましたね・・・
これをきっかけに 奥様と一緒に山を登っていってほしいな~これからも!!
eriさん独りだけど 独りじゃなかったねー! いい経験だったでしょうね~ (^O^)/
ハマったりして・・・N吉くんは置いてけぼり?? 笑)
投稿: イノぶた | 2009年11月 3日 (火) 09:45
eriさんの感動と喜びが伝わってきます。
私も味わったこの同じ感覚! そして益々山が好きになっていく・・・。
たぶん、単独同士でどこかでバッタリしたままeriさんと一緒に歩いたら かなり楽しい山歩きになるだろうなぁ。
投稿: カモシカ | 2009年11月 5日 (木) 01:06
>イノぶたさん
ついつい地面に這いつくばってしまうんですよね
しかもザックが重すぎて、頭の上にザックがずり落ちてきたり・・・
おじさんに「背中見えてるよ~」と言われたことも(汗)
ほんとひとりだけどひとりじゃなかったですよね。
とっても楽しかった~。ひとりじゃないとここまでいろんな方と
お話することもなかったでしょうね!
投稿: eri | 2009年11月 6日 (金) 00:23
>カモシカさん
ほんとますます山が好きになりました♪
ひとりだとしゃべらない時間は山をじーっと眺めていたり
考えごとをしたり、日常から離れて普段できないことができますね!
どこかでバッタリしましたら山の話で盛り上がりましょう~♪
その時にはよろしくお願いしますね!
投稿: eri | 2009年11月 6日 (金) 00:27